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カメラのコセキ

Photo Impression



カメラのコセキスタッフによるカメラ・レンズレビュー。
個性的なスタッフたちの極私的なレビューをお楽しみください!
 
 
第5回 引き伸ばしレンズのこと

 
大変お久しぶりでございます。
コセキカメラ スタッフのサトウです。前回の登場より大変間があいてしまい、お恥ずかしい限りです。
はたと書く手が止まってしまい、生意気にもスランプ?のようなものに陥ってしまったようで…
ここはひとつ、スタンダードなものから離れて得意分野である変わり種のご紹介を…と思います。

突然ですが、暗室での引き伸ばし作業の経験はございますでしょうか。
引き伸ばし機にネガをセットし焼き付けるという一連の作業です。モノクロであればやった経験のある方も多いと思います。その際、ネガ像を写真印画紙に焼き付けるための専用のレンズというものがあり、各メーカーより発売されていました。
今回はその「引き伸ばしレンズ」についてのお話を。  

引き伸ばしレンズ各種。ニコン、フジフイルム、ローデンシュトック…他にも国内外の各メーカーより発売されていました。
 
引き伸ばしレンズは特殊用途のレンズとなりますが、小さいネガから高画質な写真を作るため、当然ながら高い解像力が必要となります。また、平らなもの(ネガ)を平らなもの(印画紙)に歪みなく投影するため、周辺まで安定した結像性能が必要となります。
レンズの使用目的の関係上、明るいレンズはありませんが性能は高く、撮影に使ってみようという方は以前よりいらっしゃいました。が、なにせ特殊なレンズのため、なかなかハードルが高かった。そう、ピント合わせの機構がレンズに備わっていないのです。
 

EL-ニッコール75mmF4。M39-M42リング+M42ヘリコイド36-90+M42-NEXマウントリングで装着。
この組み合わせだと少し繰り出しで無限が出ます。かなりの接写も可能。もちろんフルサイズ対応です。
 
一般的なレンズはヘリコイドという機構でピント合わせを可能としていますが、引き伸ばしレンズは引き伸ばし機にピント合わせの機構が備わっているため、レンズ単体ではピント合わせが不可能。レンズはライカLマウントと同形状の39mmネジマウントなのですが、ピント合わせができない、さらに無限遠が出るフィルム面までの距離(バックフォーカス)がレンズごとに違うなど、なかなかに難物なレンズなのでした。
以前よりヘリコイドアダプターは存在していたのですが、なかなかに高価な上、マウントネジやフランジ調整の組み合わせがなかなか難しかったのです。
 
 
独ローデンシュトックの引き伸ばしレンズ、ロダゴン50mmF2.8。開放の描写とボケ味が独特。
M39-M42リング+M42-Eヘリコイドアダプターで。バックフォーカスを稼ぐためにリングを装着しています。これで無限から撮影可能。
 
そこで可能な限りシンプルに対応できる組み合わせを考え、いざ実写してみたところこれはこれは。古いレンズでも十分にシャープ、時に驚くような描写を見せたり、上品なフレアや特徴的なボケ味を楽しめたりと、新しい世界が開けたのです。
諸々の私物のレンズ(暗室時代のものをいろいろ持っていたのです)をとっかえひっかえ楽しんでおりましたが、これはぜひ皆様にも楽しんでいただければと思い、今回紹介させていただいた次第です。
 
 
ロダゴン50mm開放でオオデマリを。白い被写体の周りにはフレアが発生、ボケもやや固めで流れ気味、点光源はバブルボケ状に。
ある意味クセ玉ですが、そこがお気に入りです。


 
同じくロダゴン50mm開放。ピント面はフレアがかっていますが解像はしています。そして容赦ないバブルボケ。

 
同じくロダゴン50mm。F5.6まで絞るときりっと解像します。ヘッドライトのガラスの立体感が生々しいです。玉ボケは相変わらずですが。
 
引き伸ばしレンズには多種の焦点距離がありますが、50mmから90mmくらいまでは比較的入手しやすいかと思います。ニコンのEL-ニッコールやフジフイルムのフジノン、フジナーは暗室の定番だったので数が多く、しかも値段も手ごろです。さらに古いラッキーやLPLなどは、ジャンク箱に投入されていたりということもよくありました。コンディションはもちろんそれぞれですが、カビやクモリが発生しているものも多いので、購入時はご注意を。  
 
私の暗室の相棒、EL-ニッコール50mmF2.8Nで同じくオオデマリ。解像感がありすっきりした描写。ボケもなかなか自然。  


EL-ニッコール50mmF2.8N。暗室用のレンズですが、コントラストも高めでしゃっきりした写りです。
 
使用にあたっての注意点としては、もちろんアダプターとの組み合わせが肝となります。無限が出る出ないはほぼこの組み合わせで決まります。中間リングをはさんだり、繰り出しの大きいタイプのアダプターを組み合わせたり…ちょっとしたパズルみたいになることも。最も、ミラーレス機なら比較的楽に無限の出る組み合わせが見つかります。135mmくらいまではカバーできるかと…
 
最初にご紹介したEL-ニッコール75mmF4で近接撮影。長めの焦点距離になると素直な描写をするレンズが多い印象です。
明るいレンズではないので、光が少ない状況下では手振れに注意です。



フジノン-EX 50mmF2.8で。レンズ鏡胴に絞り照明窓なるものがあるのでちょっとした工夫というか改造がいります。
描写はシャープですっきりしています。色乗りもなかなか良いのではないでしょうか。改造は難しいものではないので、ご相談くださいね。
 
暗室で写真を焼いていたころは、ああでもないこうでもないと試行錯誤ばかりしていたように思いますが、今でもやはり楽しい思い出です。メインで使用していたのはEL-ニッコール50mmF2.8Nでした。今撮影に使ってみてやはり高性能だなあ…と感心しきり。
ほかにも手持ちのものだけでも個性的なものが多く、また基本的にシャープネスが高めに設計されているのも好み。使用条件の関係上か、おしなべて逆光性能は高くないように感じますので、ハレ切りやフード装着はあったほうがよいかと思います。しかし、ちょっとした工夫で楽しめる高性能レンズ群。レンズ遊びの中でも特殊かもしれませんが、暗室から持ち出したレンズたちで試行錯誤を再びしてみたく思うのです。
  
最後にロダゴン50mmで撮影の白バラ。花のソフトな描写やざわつくボケ、鈍めの色調…なんとなく白昼夢っぽい雰囲気がお気に入り。
実は実写を始めてから何本か買い足してしまい…レンズ行脚の始まりかと内心びくびくしております。
 
以上、少々特殊ながら魅力的なレンズ群のレビューをお届けしました。古いものでは優に50年以上を経過しているものもありますので、状態のチェックは必須ですが、クモリや傷みも味のある写りとなるものもあります。何よりこんな高性能レンズたちがショーケースの隅や引き出しの中に眠っている状況に少しもの悲しさを感じるのも事実。もし使ってみたい!という方がおられましたら、ヘリコイドアダプターも取り揃えておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

大変お久しぶりなレビューとなってしまいましたが、これからカメラやレンズだけではなく、雑貨やカメラ用品のお話もできればなあ…と考えております。
少しでも楽しんでいただけるべく精進してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い致します。
 
 
文責:スタッフ サトウ
 

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