コセキカメラ

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コセキカメラスタッフによるカメラ・レンズレビュー。
個性的なスタッフたちの極私的なレビューをお楽しみください!
 
 
第8回 最古のカメラブランドのこと

 
こんにちは。コセキカメラスタッフサトウです。
今回は最古のカメラブランド、と言っていいのかどうかですが、某ドイツブランドのレンズ群のお話。でも今はMade in Japan。
そう、フォクトレンダーについての個人的なお話と印象を。

「最古のカメラメーカー」といわれるフォクトレンダーの名前は、カメラをかじりだした時から延々と気になっていた名前でした。ライカやツァイス等のドイツブランドの中でも、知名度はやや劣りながら(失礼)もその独創的な機構と高いレンズ性能は通好み、と言われたこともあります。
 
「最古の」といわれると恥ずかしながら心くすぐられるところもありまして…なお、現在所有のフォクトレンダーのカメラはこのペルケオIIのみです。
巻き止め機構が致命的(部品欠損)に故障しており赤窓式として使用。コンパクトな66判。
 
コシナから国産フォクトレンダーBESSAシリーズと一連のレンズ群が発売されたのもそのころ。高性能でコストパフォーマンスに優れたレンズ、鮮烈なファインダーを持ったカメラに(BESSA-Lはファインダーレスでしたが)に惹かれつつも、手を出さぬままでした。
 

VINTAGE LineのNOCTON 50mm F1.5 ASPHELICAL VM。初代BESSA-Rとともに発売された大口径標準レンズ、NOCTON 50mm F1.5 ASPHELICAL Lマウントの光学系を受け継ぎ、独フォクトレンダー社から販売されたオリジナル・ノクトンのデザインに寄せた逸品。オリジナルに近いのはシルバーですが、軽量で引き締まったブラックも良いです。
 
時は流れ、カメラ店店員として働く中、日々フォクトレンダーを取り扱い続けて幾年月。コシナに受け継がれたレンズブランドは進化を続け、超大口径やミラーレス用レンズ、アポクロマート設計や驚異的な超広角など魅力的なレンズがラインナップされております。また、かつてはフィルムでしか使えなかったレンズもデジタル時代になり、新たな魅力を発揮。
このあたりで少し「フォクトレンダー」について考えてみようか、と思い至った訳です。
 
 
ノクトンで試写、F1.5開放。最短に近い撮影距離だと、控えめに渦を巻くような描写を見せることも。
レンズ前面に斜光線が直撃しても、この程度のフレア・ゴーストで済むのはさすがの現代レンズ。
 
先程も申し上げました通り、「フォクトレンダー」ブランドは19世紀から始まる歴史ある名前です。また、独創的な機構で知られ、ヴィテッサシリーズのプランジャー巻上げ(カメラ上部に飛び出した棒を押し込むことで巻上げ・シャッターチャージを行う)や、レンズ交換式レンズシャッター機プロミネントの距離計連動方法(スチールボールを経由することで交換レンズによって変わる連動の調整をするという、未だによく理解できていない構造)はカメラメカニズム好きにはたまりません。
 
 
ウルトラワイドヘリアー12mmF5.6 Aspherical II VM。焦点距離12mm(画角121度)の超広角。なんというか広大な画角と、突き放されたような強烈な遠近感描写は圧巻…
上から見下ろして撮ってみると、何てこともない地下1階が奈落の底のようです。
 
また、レンズの性能も素晴らしいものがあります。ヘリアー、スコパー、ウルトロン、ノクトン…名レンズが数多く存在し、その描写性能には舌を巻きます。その名前を受け継ぎ、発展させたコシナ製フォクトレンダーのレンズ群も、ちょっとしたクセを味として残したり、はたまた徹底的な収差補正をしてみたり…おしなべて「よく写る」レンズとして評価が高く、また高性能を誇りながら比較的手に入れやすい価格帯を実現。人気の高いシリーズとなっています。
 
 
改造レンズ、プロミネント用ウルトロン50mmF2・ソニーEマウント改造。ヘリコイドアダプターに固定されています。70年以上前の設計のレンズですが、F2解放でこの描写。
オールドレンズという枠から離れても見ても秀逸な描写だと思います。
 
個性的なカメラと優秀なレンズを生み出していたフォクトレンダー社。時代の流れの中で紆余曲折を経て、現在は日本のコシナにそのブランドは受け継がれています。伝統ある名前を名乗るにふさわしい製品群を作り続けるコシナの姿勢には正直頭が下がります。私は販売する側の人間ではありますが、フォクトレンダーに限らず各メーカーが各々の歴史を持ち、様々な製品を作っているということ。また、中古のカメラやレンズにもその背景や歴史があることを理解し、お客様に伝えられる店員にならなければ…と思うのです。
 
 
高性能でありながら、どこかちょっとした人間味を感じさせるのがフォクトレンダーレンズの特徴でしょうか。
やはりここは、昔のフォクトレンダーの有名なキャッチフレーズでお話をまとめたいと思います。
「 ..weil das Objektiv so gut ist (なぜならレンズがとても良いから)」。
今でも受け継がれるフォクトレンダーの精神のように感じます。
 
写真が生まれて100年以上が経ちますが、それはカメラも同じこと(原型のカメラオブスクラに関しては更に古いですね)。最新のデジタルカメラも、戦前に作られたクラシックカメラも、レンズで目の前の光を記録する、という点では基本的には一緒だと考えています。レンズが写真の仕上がりに寄与する割合はとても大きく、その性能は日々進化しています。しかしながら、高性能レンズで撮ったイコールいい写真、というわけでもないのは事実。その狭間の中で、お客様のカメラと写真のある生活をサポートするのが私たちカメラ店です。写真やカメラのことで何かわからないことがあれば、気負わずお気軽にお声がけいただければと思います。
 
文責:スタッフ サトウ
 

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